食べ物について学ぶ

 食べることは勉強より重要だ。どちらもインプットするという点では同じだが、頭と体ではより体のほうが重要だと思うからである。脳も体の一部なのだから、まずは体を強くしないといけない。入れ物が頑丈でなければ良いものを入れてもこぼれてしまう。勉強しても体がだめなら知識を活かすことができなくなってしまう。なんのための勉強なのかということになってしまう。
 かくいう私も食べ物については興味がなかった。お菓子ばかり食べたり、時間がないからと言って食事を摂らなかったり、カロリーは気にしていたが、食べることの重要性がわかっていなかった。今も本当に食べることの重要性について理解はしていない。ただ、若いときのように食事に無頓着ではだめなことはわかった。睡眠不足と同じように栄養不足は良くない。睡眠時間が短いことを自慢するような人がいるが、食べなくても動けることを自慢する人はいない。寝なくても朝食を抜いても仕事ができると言いたいのだろうが、それはエネルギーを使う仕事をしていないからだろう。もしくは興奮系の脳内ホルモンが出すぎて痛みや辛さを感じない状態なのかもしれない。何かに取り憑かれたかのように努力ができる時はある。何かとても欲しいものが手に入りそうな時がそういうときであるように思う。自分にもあった。資格試験の勉強、ゴルフの練習。アホかと思うくらいがんばれた。しかし、手に入れたものより失った物のほうが多かった。体を壊した。どんな分野でもとりつかれたかのように向上のために努力するのが最善ではない。むしろ悪い。限界まで頑張ることは体に悪い。急がば回れという格言があるが、たしかにそのとおりだと思う。焦ってはいけない。焦れば焦るほど失敗が多くなるし、失敗を取り戻すために余計な労力を使わなくてはならない羽目になる。のんびりゆっくりやるほうが速いかもしれないし、そのほうがイライラしないで済む。切れる元凶の一つは間違いなく急ぐことだ。車を運転するドライバーでイライラする人が多いのはそのせいだ。ある地点まで早く行こうとするから、焦りイライラし短気になる。時は金なりという格言は良くない格言だ。反対に急がば回れはとても良い格言だ。話がそれた。
 睡眠不足とともに栄養不足は人間の大敵だ。そのことがわかったのは、自転車通勤をするようになってからだ。仕事の途中に腹が減る。帰り道がとてもしんどい。眠いと仕事にならないのと同じように、腹が減ると体が動かなくなる。おそらく事務仕事などでは睡眠不足や栄養不足の影響は少ないのではないかと思う。しかし、自転車に乗っていたら体で学べた。腹が減っているときに自転車をこぐのはとてもしんどい。特に帰り道の自転車のしんどい理由がよくわかっていなかった。疲れや睡眠不足からきているのだろうと深く考えなかった。しかし、自転車をゆっくり漕いでいて意識が朦朧としていたのはどうかんがえてもおかしい。もしかしたら空腹のせいではないかと推定し、退勤の前にカロリーを補給するようになったら、楽に帰れるようになった。家に帰り着いて体を引きずるようなだるさを感じることがなくなった。
 ちなみに私は通勤に片道で約500kcalを消費していた。往復で1000kcal。一日の標準摂取カロリーの半分を通勤で使っている計算になる。通勤でほぼ力尽きるではないか。
 私は筋トレもしているので、プロテインがどうとかBCAAがこうとか気になった。調べてみると、体重の2/1000のタンパク質が必要だったが、私の場合全然足りていなかった。タンパク質が足りない分、炭水化物を摂っていた。調べなければわからなかった。肉が好きなのでタンパク質は足りていると思いこんでいただけだった。今の体の痛みは使ったからではなくて、修復に必要な\栄養素が行き届いていないからかもしれないのだ。体の痛みを治したいために運動やストレッチなどやっていたが、そもそも前提が間違っていたのかもしれない。治すためには材料が必要だ。今の自分には材料が不足しているのではないのか。つまり痛いところを治すためにその部分を構成する筋肉や骨、神経の材料となるタンパク質が不足しているのではないか。思えば仕事の前には、うどんやパンなど炭水化物中心の食事だった。帰ってからもカップラーメンで済ますことが多かった。食べればまだ良い方で、しんどくないし帰ったら寝るだけだから食べないでもいいなどとと思っていた。しかし、その食生活のせいで体の痛みが治らなくなった可能性は高い。いろんなことを試したが治らない。抗うつ剤も効くが、副作用で下痢が激しく自分には辛い。そしてたどり着いたのが食べ物について勉強するということだった。いままでに全く興味を持ったことがない分野だ。まず食に興味がない。舌が肥えていない。料理にも興味がない。野菜にも魚にも詳しくない。そこそこ美味しければそれでいいという食生活だった。栄養があろうがなかろうが食欲が満たされれば良かった。その考え方は変わってはいないが、不足は良くないということをいまさら感じているのだ。だから栄養について知りたい。
 基本的には食べたいものを食べればいいと思う。今の科学技術水準なら、穀物や肉などの食べ物が無くても人間は生きていけるだろう。それでも食べ物の嗜好はなくならないだろう。食べることは人間にとって最高の快楽なのだ。

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